Family Tree

提供: 北九州市立大学国際環境工学部高偉俊研究室
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Family Tree[編集]

現代の日本の古い住宅地では、戸建住宅が密集し、混乱した景観と閉鎖的な空間が生じ、孤立して生活する住民が増えてきている。また、ライフスタイル及び家族構成の変化に基づいて、「家」自体の有り方を変える要求が強まっている。本提案では、「家」の定義を広い範囲に捉え、「家」に住むことを「町」に住むことに進化させ、町並みのスケール感と伝統的な町並の秩序に沿いながら、共用的な要素を加え、地域に新しい関係を造りだすことを意図している。町家が集合住宅と混在することにより、住宅が”Tree”の枝葉ように伸びて、住む人の人生とともに成長していくのである。

芽生え 始めは、数戸の住民の要望から、敷地内のいくつかの戸建住宅を集合住宅に建替えることになった。この中には、すぐに建替えを望む人もいれば、2-3年後に建替えを望む人もいた。 田代さんの子供は、就職して、一人暮らしを始めた。住み慣れた町家から離れたくないが、夫婦二人にとって、今の家は、あまりにも広すぎる。 松藤さんの次男が家の店の手伝いをしている。来年結婚することを予定している。実家の部屋数が足りなくなるから、近くでマンションを探している。 慎くんは毎日小学校に通っている。近辺に、同年代の子供と遊べる場所がない為、毎日学校から帰ってきて、家に籠もって、ネットゲームばかりやっている。 小学生の香ちゃんと中学生の泰一くんの両親は毎日遅くまで仕事をしている。晩ご飯はいつも、コンビニで買ったお弁当をレンジで温めて食べている。

成長 数年後、建替え工事が終わったら、ちょうど慎くんの誕生日になった。みんなで、慎くんの誕生日パーティーを開いた。 夏になると、松藤さんは、中庭で、みんなが参加できるような素麺流しをやろうと計画している。

成熟 近くに住んでいる入江さんは毎週木曜日の午後に、共用キッチンで開いているパン教室に通うようになった。たまに、お友達を連れて来ている。

この新しい生命力が注入された“Family Tree”は、これからも、人々に愛され、ますます伸びていくだろう。

本計画では、30戸の戸建住宅から成長した1つの“Family Tree”を集合住宅全体のイメージとして取り入れる。様々な家族構成に応じながら、新たな建物と伝統的町家を融合させ、今までにない地域関係を作り出すことを提案する。

Family この“Family”って、誰までなの? お父さんとお母さん? 毎日、優しく挨拶してくれる、近所のおばさんは? 毎年、誕生日になったら、紙芝居をしてくれる街角の店のおじさんは? いつも、朝一緒に学校に行っている、隣の香ちゃんは?

Tree この“Tree”って、どこまで伸びていくの? 僕の家よりは高いでしょう? 道路の向こう側まで届くかな?


30戸の住民それぞれの要望に基づき、建替え計画が進んでいく。年を経るにしたがって、徐々に町の姿が現す。

大通りに面する町屋を残し、本来ある、町のスケール感に合わせながら、新しい町の構成を生み出す。

道路に面する部分から奥に行くほど、建物の階数が増えていくことにより、街路からの景観を守る。 共用スペースを加え、近隣からのアクセスも受け入れる。

路地空間と立体街路の融合により、新たなアクセスができ、通り抜ける空間が魅力的な街路となる。